マルチキャスト、ISIS、IPマルチキャスト、ニュース・システム

並行システム

                               システム情報系情報工学域,
			       システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻
                               新城 靖
                               <yas@cs.tsukuba.ac.jp>

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http://www.cs.tsukuba.ac.jp/~yas/cs/
http://www.cs.tsukuba.ac.jp/~yas/

■今日の重要な話

■分散アルゴリズム

◆(集中)アルゴリズム

(集中)システムで問題を解くための指令の集まり。

◆分散アルゴリズム

要素間のメッセージの伝達の方法の集まり 時計を使うアルゴリズムもある。

◆分散アルゴリズムの例

■プロセス間通信

12月22日の資料参照

■マルチキャスト(グループ通信)

通信の分類

send()4回、4つの数のプロセスが同じメッセージをreceive()。

図? 1対1の通信の繰り返し

send()1回、4つの数のプロセスが同じメッセージをreceive()。

図? 1対多の通信

マルチキャストなら、あるプロセスが1回 send() すると、同じメッセージが 複数のプロセスに届けられる。send() の宛先のアドレスは、1個。

◆ブロードキャストとマルチキャスト

◆マルチキャスト実装の難しさ

マルチキャストは、いろいろな分散アルゴリズムでよく使われる。 それが使えれば、非常に便利。しかし、実装が難しい。

何が難しいか

◆設計の論点

並列処理では、closedが多い。 IP MBone のように、オープンでないとどうしようもないものもある。

対等だと、クラッシュに強い(single point of failure がない)が、何をす るにもすぐ投票が必要になる。

◆メンバシップの管理

グループサーバを持つか持たないか。

難しいのは、メンバのプロセスがクラッシュした時。 何も言わずにグループから抜ける。

◆アドレス指定

◆通信プリミティブ

one-to-oneの通信と同じにしたい。しかし、 障害がなければ、簡単。

◆atomic broadcastの簡単なアルゴリズム

そのうちに、全プロセスに必ずメッセージが届く。

図? 簡単なatomic broadcastのアルゴリズム

◆メッセージの到着順

one-to-one でも問題があるのに、group 通信だとさらに複雑。

total ordering は、グループ通信では実現が難しすぎる。弱いものが実現さ れる。

プロセスが複数のグループに属していると、1つのメッセージについての順序 だけ考えていてはすまなくなる。

◆スケーラビリテイ

数が増えた時に動くか。

◆冗長性

ネットワークのダウンに対応するには、ネットワークを冗長に しないといけない。冗長性があると、メッセージの重複を うまく扱う必要がでてくる。

下手をすると、メッセージが増幅しながいつまでもぐるぐる回る。

◆集中システムでは

集中システムでは、あるプロセスが共有メモリ(共有ファイル)に書いて、他 のプロセスが読むということで、用が足りることも多い。

「データが更新された」というイベントを、複数のプロセスにきちんと送り届 けようとすると、分散システムのマルチキャストと同じ話になる。

■事例0:メーリング・リスト

メーリング・リストも、マルチキャストの一実装と考えることもできる。

メーリング・リスト、個人、個人、ネスト、個人

図? マルチキャストとしてのメーリング・リスト

■事例1:ISIS システム

分散アプリケーションのためのツールキット。 コーネル大学。 1983年-1994年。

http://www.cs.cornell.edu/info/projects/isis/

◆ISISの同期性(synchrony)

同期システム(synchronous system)
イベント(マルチキャスト)の順序が厳密に逐次的に発生する。オーバーラップしない。 イベント(マルチキャストを含む)は、完了までの時間は、0。 実現不可能。
緩やかな同期システム(loosly synchronous system)
イベントは有限時間で届く。
仮想的な同期システム(virtually synchronous system)
因果関係が成り立つようにがんばる。(並行なものは、手抜き。)

◆ISISの通信プリミティブ

ABCAST (atomic multicast)
緩やかな同期
CBCAST (causal multicast)
仮想的な同期
GBCAST (group multicast)
仮想的な同期(グループのメンバシップ用)

最初の実現:2相コミットによる ABCAST 。重すぎる。

  1. 送信者は、タイムスタンプを含むメッセージを全てのメンバに送る。
  2. 各メンバは、送信、または、受信したメッセージで最大のものを最初の送信者に送る。
  3. 送信者は、全ての返事を受け取ると、最大のものを選び、メンバにコミット・メッセージを送る。コミット・メッセージは、タイムスタンプの順に届けられる。
メッセージを送ったのに、あるプロセスから返事がこないことがある。その時 は、コミット・メッセージではなくて、アボート・メッセージを送る。メッセー ジは、送られなかったことにする。

CBCASTの実現

メンバの数:n

各プロセスは、グループごとに、長さnのベクトルVを持つ。 i番目の要素は、プロセスiから正しい順序で受信したメッセージの最後の番号。 0に初期化される。

  1. プロセスは、送信すべきメッセージがあると、 ベクトルの自分のスロットを増加させ、メッセージの一部として送信する。
  2. メッセージのベクトルをV、メモリ中のベクトルをLとする。 メッセージがjから送られてきたものとすると、次の条件の時に受け取る。 そうでないものは、この条件が満たされるまでバッファリングされる。

M1が届くまでM2の配送を遅延。

図? ISISでのCBCASTの実現。

■事例2:IPマルチキャスト

送信者が1人で、受信者が複数のメッセージをIP のネットワークで送信するこ と。UDP(データグラム)のみ。TCP(ストリーム)は対応していない。

動画像や音声など大量のデータを配信する時、複数人で同じデータを受信する 時に、同じメッセージを共有できる。

例:筑波大学で、100人の人が同じ 1M bps の動画像の「生中継」データを 見る

◆IP マルチキャストのプログラミング

IP マルチキャスト用のアドレス IPv4 では、クラス D の 224.0.0.0/24 (224.0.0.0-239.255.255.255)。

◆IP マルチキャスト可能なルータ

ルータは、そのネットワークに特定のマルチキャスト・アドレスでメッセージ を受信するプロセスが存在するかどうかを管理する(メンバシップ管理)。他 のルータにも伝える。アドレス毎にマルチキャストのルーティング・テーブル を維持する。

送信側と受信側の間にあるすべてのルータがマルチキャストに対応していない と、受信できない。多くの IPv4 ルータは、マルチキャストのオプションを無 効にしている。

ルータは、個々のプロセスにメッセージを届ける時には、ネットワークのブロー ドキャストが使える場合には使う。たとえば、イーサネットでは、ブロードキャ ストを使う。

◆IP Mbone

IP MBone は、1990年代に IP Multicast を使った実験的なネットワーク。間に マルチキャストに対応していないルータがあったとしても、ユニキャストによ るトンネリングで接続する。

◆「IPマルチキャスト放送」

日本の法律の用語。IP マルチキャストを使った、「放送」。

今までは、「放送」といっても、著作権法上は、インターネットを使う他のも のと同様に「通信」に分類されており、著作権管理の手間が大きかった。

2006年、著作権法が改定され、「IPマルチキャスト放送」を「放送」として位 置づけられるようになった。

■事例3:ニュース・システム

◆ネットワーク・ニュース

編集でカットされない、誰でもメッセージを発信できるという意味では、n対 nの通信。

◆ニュースシステムの設計目標

P2P (Peer to Peer) で、成功している例。

◆ニュースの記事の形式

Path: gama.is.tsukuba.ac.jp!ie.u-ryukyu.ac.jp!CALA-MUZIK!rlss-news!orie-news!not-for-mail
From: committee@fj-news.org
Newsgroups: fj.news.lists,fj.news.group,fj.archives.documents
Subject: Active Newsgroups List of fj (2007/01/15)
Followup-To: fj.news.group
Date: Mon, 15 Jan 2007 00:00:01 +0900
Organization: fj Newsgroups Management Committee
Lines: 1095
Sender: kgk@film.rlss.okayama-u.ac.jp
Approved: committee@fj-news.org
Expires: 24 Feb 2007 00:00:01 +0900
Message-ID: <active-newsgroups.part1.20070115@fj-news.org>
Reply-To: committee@fj-news.org
NNTP-Posting-Host: film.rlss.okayama-u.ac.jp
Mime-Version: 1.0
Content-Type: text/plain; charset=ISO-2022-JP
Content-Transfer-Encoding: 7bit
X-Trace: orie.rlss.okayama-u.ac.jp 1168786802 14625 192.168.0.104 (14 Jan 2007 15:00:02 GMT)
X-Complaints-To: news@film.rlss.okayama-u.ac.jp
NNTP-Posting-Date: Sun, 14 Jan 2007 15:00:02 +0000 (UTC)
Xref: gama.is.tsukuba.ac.jp fj.news.lists:240 fj.news.group:185 fj.archives.documents:205

Archive-name: fj-news/active-newsgroups/part1
Original-author: saitoh@ics.es.osaka-u.ac.jp (SAITOH akinori)
Last-change: 2006/07/20 by kgk@film.rlss.okayama-u.ac.jp

fjのニュースグループの一覧とその解説

・現在 fj にあるニュースグループ 412 個の名前と説明文です。

・この文書は「JUNET利用の手引 (第1版)」に由来するもので、
  現在はfjニュースグループ管理委員会(committee@fj-news.org)が
  維持管理を担当しています。

  出所 (題名と日付) を明示する限りにおいて、引用、転載、複製等は、
  著作者等に断りなしに、自由におこなって構いません。
  文書の一部を他の著作物に流用する等の利用は、完全に自由とします。

◆記事のヘッダ

Newsgroups:
ニュース・グループ
From:
差出人の電子メールアドレス
Subject:
記事の題名(題目、表題)。
Date:
記事が書かれた日付
Message-ID:
メッセージ識別子。その記事に対して世界中で重複がないように付けられた文字
Path:
記事が通過したサーバ。

◆ネットワーク・ニュースの記事の配送の仕組

nnptd, nntp クライアント, インターネット

図? ネットワーク・ニュースの記事の配送の仕組

サーバ NNTP

◆NNTP

NNTP(Network News Transfer Protocol) とは、ネットワーク・ニュースの記 事の転送や、記事の読み書きを行うためのプロトコルである。mnews や GNUS などのネットワーク・ニュースを読み書きするソフトウェアは、クライアント として NNTP サーバとの間に TCP/IP による通信路を開設する。そして、クラ イアントは、記事を要求する文字列や、ニュース・グループの一覧を要求する コマンドをサーバに送る。これに対してサーバは、要求された記事やニュース・ グループの一覧をクライアントに返す。表4に、クライアントからサーバへ送 られるNNTPのコマンド、表5に、サーバからクライアントへ返される応答を示 す。

表? NNTPのコマンド

GROUP newsgroup
ニュース・グループnewsgroupを選択する。結果として、記事の数、記事の番号 の上限と下限が返される。
ARTICLE num
記事番号 num の記事の内容を得る。ニュース・グループが選択されている状態の 時に使える。
ARTICLE <message-id>
メッセージID <message-id>の記事の内容を得る。
LIST
ニュースグループの一覧を得る。
HELP
ヘルプ・メッセージの表示
QUIT
終了
POST
記事を投稿する。

表? NNTPの応答

応答コード 説明
100 ヘルプのテキストが続く。
200 要求受け付け可能である(投稿可)。
201 要求受け付け可能である(投稿不可)。 
205 通信路を切断する。
211 ニュース・グループが選ばれた。記事の数、記事番号の上限、下限、ニュース・グループ名。
235 記事の転送は成功した。
335 記事を送れ。最後は、CR-LF . CR-LF 。
400 サービスを中断する。
411 そのようなニュース・グループがない。
421 もうそのニュース・グループには次の記事がない。
435 その記事は欲しくない。(もう既に受け取っている)
436 転送に失敗した。後でもう一度転送しB$iて欲しい。
437 転送に失敗した。もう転送するな。
500 コマンドが認識できなった。
501 コマンドの文法に誤りがあった。
502 アクセスが制限されている。

以下に、telnet コマンドを利用して、NNTP サーバに接続した様子を示す。
% telnet $NNTPSERVER 119[←]
Trying 130.158.80.241...
Connected to gama.cs.tsukuba.ac.jp.
Escape character is '^]'.
200 gama.is.tsukuba.ac.jp InterNetNews NNRP server INN 2.4.1 ready (posting ok).
group fj.news.lists[←]
211 120 127 254 fj.news.lists
article 240[←]
220 240 <active-newsgroups.part1.20070115@fj-news.org> article
Path: gama.is.tsukuba.ac.jp!ie.u-ryukyu.ac.jp!CALA-MUZIK!rlss-news!orie-news!not-for-mail
From: committee@fj-news.org
Newsgroups: fj.news.lists,fj.news.group,fj.archives.documents
Subject: Active Newsgroups List of fj (2007/01/15)
Followup-To: fj.news.group
Date: Mon, 15 Jan 2007 00:00:01 +0900
Organization: fj Newsgroups Management Committee
Lines: 1095
Sender: kgk@film.rlss.okayama-u.ac.jp
Approved: committee@fj-news.org
Expires: 24 Feb 2007 00:00:01 +0900
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Reply-To: committee@fj-news.org
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Content-Transfer-Encoding: 7bit
X-Trace: orie.rlss.okayama-u.ac.jp 1168786802 14625 192.168.0.104 (14 Jan 2007 15:00:02 GMT)
X-Complaints-To: news@film.rlss.okayama-u.ac.jp
NNTP-Posting-Date: Sun, 14 Jan 2007 15:00:02 +0000 (UTC)
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Original-author: saitoh@ics.es.osaka-u.ac.jp (SAITOH akinori)
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fjのニュースグループの一覧とその解説

・現在 fj にあるニュースグループ 412 個の名前と説明文です。

・この文書は「JUNET利用の手引 (第1版)」に由来するもので、
  現在はfjニュースグループ管理委員会(committee@fj-news.org)が
  維持管理を担当しています。

  出所 (題名と日付) を明示する限りにおいて、引用、転載、複製等は、
  著作者等に断りなしに、自由におこなって構いません。
  文書の一部を他の著作物に流用する等の利用は、完全に自由とします。

<中略>
.
quit[←]
205 .
Connection closed by foreign host.
% []
ここで、強調で示した部分が、キーボードからのタイプである。 この例では、ホスト $NNTPSERVER のポート番号119(nntp)のポート に、TCP/IPにより接続を試みている。続く3行は、telnet コマンドによる定 型的な表示である。通信路が開設されると、サーバは、"200" という応答を返している。これは、NNTP で定義されている応答であり、サー バが、要求を受け付け可能であり、かつ、要求としては投稿要求(POST)も受 け付けることを意味している。"200" 以降の文字列は、コメン トである。

接続されると、"group" というコマンドをサーバに送っ ている。これに対して、サーバは、"211" という応答に続けて、 記事の数、記事番号の上限、下限、ニュース・グループ名を送っている。

次に "article" コマンドを送っている。これによ り記事が転送されている。記事の最後には、"." からなる行が ある。これが、articleコマンドに対する応答の終 りを示している。

最後に "quit" というコマンドをサーバに送ってい る。これにたいして、サーバは、205 という応答を返し、続いて TCP/IP の通 信路を切断している。その下の Connection closed... は telnet コマンドが生成したメッセージである。

参考

◆INN newsfeed

ME:!*/!local::
news.ie.u-ryukyu.ac.jp/ie.u-ryukyu.ac.jp:fj.*,okinawa.*:Tm:innfeed!
nadesico.cc.tsukuba.ac.jp/nadesico.cc.tsukuba.ac.jp:comp.*,sci.*,rec.*,news.*,soc.*,talk.*,misc.*,fj.*,gnu.*,tsukuba.*,campus.*,tnn.*:Tm:innfeed!
news.esys.tsukuba.ac.jp/news.esys.tsukuba.ac.jp:coins.*,tsukuba.*:Tm:innfeed!
keknews.kek.jp/keknews:tsukuba.*:Tm:innfeed!
転送の様子
maple% telnet gama.is.tsukuba.ac.jp nntp[←]
Trying 130.158.80.241 ...
Connected to gama.is.tsukuba.ac.jp.
Escape character is '^]'.
200 gama.is.tsukuba.ac.jp InterNetNews server INN 1.5.1sec2 25-Jul-1997 ready
IHAVE  <YAS.98Feb2175819@is.tsukuba.ac.jp>
335
Newsgroups: denjo.test[←]
Path: is.tsukuba.ac.jp!gama.is.tsukuba.ac.jp!is.tsukuba.ac.jp!yas[←]
From: yas@is.tsukuba.ac.jp (Yasushi Shinjo)[←]
Subject: from maple[←]
Date: Mon, 2 Feb 1998 08:58:17 GMT[←]
Nntp-Posting-Host: hlla-gw[←]
Organization: Institute of Information Sciences and Electronics, University of[←]
Tsukuba[←]
Sender: news@is.tsukuba.ac.jp (News Manager)[←]
Message-ID: <YAS.98Feb2175819@is.tsukuba.ac.jp>[←]
Lines: 2[←]
[←]
fake Path: gama.is.tsukuba.ac.jp!is.tsukuba.ac.jp!yas[←]
1998/02/02 17:58:13[←]
.[←]
235
QUIT[←]
205 .
Connection closed by foreign host.
maple% []

◆UUCP

TCP/IP が普及する以前は、UUCP (Unix to Unix CoPy) という仕組みで、 ネットワーク・ニュースが配られていた。1990年代前半まで主流。 ファイルのコピーの例: uucpコマンド
% uucp file1 host1!host2!host3!/dir1 [←]
メールの送信の例: 「!」を含むメールアドレスによるメールの送信
% mail -s "hello" host1!host2!host3!who [←]
メールの送信の例: ドメイン形式のメールアドレスによるメールの送信。
% mail -s "hello" who@domain.junet [←]
途中のホストは、次にどのホストに転送すれば良いかを知っている。自分とは 無関係のホストのメールを中継することもある。誰が電話代を払うか、そもそ も法律的にそのような中継をしてよいのかが問題であった。

◆故障への対応

サーバやネットワークが落ちることがある。 核攻撃が無くても落ちる。

冗長リンクを持つと、同じ記事が複数の隣接するサーバから送られて来る。

◆冗長のリンク

図? A!B!C!D!E!Fのつながり。冗長リンクを含む。

図? 冗長リンクを含むニュースの配送

◆記事の重複への対応(1)

履歴を利用する。
#gama[lib-news] 113# tail history
<19980131213101.QAA14061@ladder03.news.aol.com> 886406952~-~886282319   rec.collecting.sport.hockey/46595
<8E8622E.0015000738.uuout@venture.fipnet.fi>    886406953~-~886231080   comp.sys.ibm.pc.demos/3590
<34D57354.592B@pp.kolumbus.fi>  886406953~-~886403924   comp.sys.ibm.pc.games.action/24913
   886406953~-~886282077   control/403867
<01bd2b53$921e9680$LocalHost@santotan>  886406953~-~886282077
<6b3s6k$85k$1@talia.mad.ibernet.es>     886406953~-~886403962   comp.sys.ibm.pc.games.flight-sim/52150
<34cd5ecb.20149236@nntp.best.com>       886406953~-~885929344   rec.arts.sf.tv.babylon5.moderated/10108
<34d4eeb3.2546651@news.txdirect.net>    886406953~-~886370114   rec.backcountry/9841
  886406954~-~885923414   misc.fitness.weights/21696
<6b3s8r$dp0@sjx-ixn5.ix.netcom.com>     886406954~-~886404085   comp.sys.ibm.pc.games.flight-sim/52151
#gama[lib-news] 114# ls -l history*
-rw-rw-r--   1 news     110490739 Feb  2 17:09 history
-rw-rw-r--   1 news          122 Feb  2 17:14 history.dir
-rw-rw-r--   1 news      8294372 Feb  2 17:09 history.pag
#gama[lib-news] 115#
同じ記事を送ろうとしたとき。
maple% telnet gama.is.tsukuba.ac.jp nntp[←]
Trying 130.158.80.241 ...
Connected to gama.is.tsukuba.ac.jp.
Escape character is '^]'.
200 gama.is.tsukuba.ac.jp InterNetNews server INN 1.5.1sec2 25-Jul-1997 ready
Trying 130.158.80.241 ...
Connected to gama.is.tsukuba.ac.jp.
Escape character is '^]'.
200 gama.is.tsukuba.ac.jp InterNetNews server INN 1.5.1sec2 25-Jul-1997 ready
IHAVE  <YAS.98Feb2175819@is.tsukuba.ac.jp>
435 Duplicate
QUIT[←]
205 .
Connection closed by foreign host.
maple% []

◆記事の重複への対応(2)

Path: の利用

図? A!B!C!D!E!Fのつながり。冗長リンクを含む。

図? 冗長リンクを含むニュースの配送

Aで投稿された記事が、B,C,Dを通って E までやってきた時には、Path: には、通ってきたニュースのサイトの名前が入る。

Path: E!D!C!B!A!username
サイト E のサーバは、この記事は サイト A を通ったと判断し、その記事を サイト A には送らない。

実際の Path: の例。

Path: orchid-news.coins.tsukuba.ac.jp!gama.is.tsukuba.ac.jp!
nadesico.cc.tsukuba.ac.jp!news-sv.sinet!newsfeed.mesh.ad.jp!
newsgate1.web.ad.jp!news501.nifty.com!not-for-mail

◆制御メッセージ(Control Message)

Path: gama.is.tsukuba.ac.jp!is.tsukuba.ac.jp!hagi!ume!igakukei!news.cs.ritsumei.ac.jp!kuis-news!kuee-news!tamaru-news!Q.T.Honey!news.hbl.or.jp!news.ksi.co.jp!spinosk!threeWeb-news!nf2.iij.ad.jp!nr0.iij.ad.jp!news.iij.ad.jp!newsgw.yokohama.tao.or.jp!news.yokohama.tao.or.jp!citron!miyano
From: fj-committee@cow.nara.sharp.co.jp
Newsgroups: fj.rec.trading-cards
Subject: cmsg newgroup fj.rec.trading-cards
Control: newgroup fj.rec.trading-cards
Date: 12 Jan 1998 23:53:28 GMT
Message-ID: <newgroup.fj.rec.trading-cards.19980113@cow.nara.sharp.co.jp>

For your newsgroups file:
fj.rec.trading-cards	Topics and discussions on trading-cards

◆よく使われるコントロール・メッセージ

名前説明
cancel <message-id> 記事のキャンセル
newgrop groupname [moderated] ニュース・グループの作成
rmgroup groupname ニュース・グループの削除
checkgroups activeファイルの確認
ihave systemname 送りたい記事のリスト
sendme systemname 送って欲しい記事のリスト
sendsys sysファイルの転送要求
version ニュース・システムのバージョンの転送

◆問題点

ニュース・システムは、権限のない制御メッセージに弱かった。

◆ディジタル署名

送られてきたメッセージが送信者本人のものであることを識別・確認する。

◆ディジタル署名つきのコントロール・メッセージ

Path: bounce-back
From: committee@fj-news.org (Fj Newsgroups Management Committee)
Newsgroups: fj.comp.dev.pc-card
Subject: cmsg newgroup fj.comp.dev.pc-card
Control: newgroup fj.comp.dev.pc-card
Approved: yas@is.tsukuba.ac.jp
Message-ID: <newgroup.fj.comp.dev.pc-card.19990112@fj-news.org>
Date: Tue, 12 Jan 1999 07:12:37 -0000
Lines: 26
X-Info: ftp://ftp.isc.org/pub/pgpcontrol/README.html
	ftp://ftp.isc.org/pub/pgpcontrol/README
X-PGP-Sig: 2.6.3ia Subject,Control,Message-ID,Date,From,Sender
	iQCVAwUBNpr16hf4TH9gf12pAQHabwP/SLnIuV26QMrAB6EdSahCzHniDvlmwjWB
	EXbPine+y0zcoSWYtj0h1ZBuY9HTV8h/Y3WMGEbsZ7UTDrK8HKYh3agEB1ZRQEe8
	jY3Ya1WCTk8ht7WGqf6mfihJB9pyXy2tkTLjaJ3CwjyQ/OGx+Ogo+4kr1oZeJ/Vt
	pC9OH+/G0CI=
	=KxP+

For your newsgroups file:
fj.comp.dev.pc-card	Discussion on PC Card(JEIDA/PCMCIA Card).

◆共通科目「情報処理」インターネットの仕組み(2005年度)/ネットワーク・ニュースに関する資料

◆まとめ

ニュース・システムに見られる分散システム構築の技術

◆マルチキャストの一実装としてのネットワーク・ニュース

■練習問題7 マルチキャスト、ISIS、IPマルチキャスト、ニュース・システム

欠席した人は、後日、以下のクイズの回答をレポートとして提出しなさい。

★問題(701) マルチキャストとユニキャスト

マルチキャスト通信を実装するにあたり、ユニキャスト通信の意味と近づけた いと思っても、実装が困難なことがある。どのようなことが難しいか。具体的 な例を用いて説明しなさい。

★問題(702) ニュース・システムの記事転送(1)

ニュースシステムのサーバ A, B, C, D が以下のようなトポロジで接続され、 記事を交換したいとする。個々のサーバは、記事本体と記事の Message-ID を 保持した履歴ファイルを持ち、その初期値が以下のようになっていたとする。

図? A!B!C!Dのつながり。冗長リンクを含む。

図? ネットワーク・ニュースのサーバの接続例

サーバ A が、自分が持つている記事のうち、次の記事をサーバ B に送ろうと したとする。 この時、各サーバ B, C, D の動作を答えなさい。

★問題(703) ニュース・システムの記事転送(2)

問題(702) で、 サーバ A が、自分が持つている記事のうち、次の記事をサーバ B に送ろうとしたとする。    この時、各サーバ B, C, D の動作を答えなさい。

★問題(704) ニュース・システムのスケーラビリティ

ニュース・システムは、高いスケーラビリティを持っている。ここでスケーラ ビリティとは何か、具体的に例を用いて説明しなさい。

また、高いスケーラビリティを実現するためにニュース・システムで用いられ ている重要な技術を1つ選び、具体的な例を用いて説明しなさい。


Last updated: 2012/02/02 08:27:41
Yasushi Shinjo / <yas@cs.tsukuba.ac.jp>