第10回研究会

日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会

日本応用数理学会「行列・固有値の解法とその応用」研究部会では,第10回研究会を開催します.

開催日:2010年11月24日(水)

場所:国立情報学研究所12階1208,1210号室
(〒101-8430 東京都千代田区一ツ橋2-1-2) 
http://www.nii.ac.jp/introduce/access1-j.shtml)

【懇親会について】
今年度は,「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会単独研究会,「若手の会」単独研究会,3部会連携「応用数理セミナー」の合同懇親会を予定しています. ご参加される場合は,
3研究部会等による連続研究会のページの「懇親会について」の項目をご参照ください.

【運営委員会について】
第1セッション終了後に運営委員会を開催します.
研究部会運営委員の皆様はこちらをご参照下さい.       
プログラム

■10:50
オープニング
主査:片桐 孝洋(東京大学)

【セッション1:固有値問題】 座長:速水 謙(国立情報学研究所)

■11:00〜11:30

講演題目: フィルタ対角化法の不変部分空間の基底の作成法

発表者: ○村上 弘(首都大学東京)

概要: 実対称定値一般固有値問題の固有値が指定された範囲にある固有対を得るためにフィルタ対角化法を用いる.まずレゾルベントの線型結合型のフィルタを 用いて十分な個数の入力ベクトルの組をフィルタに通し,出力のベクトルの組を得る.その出力の組から,不変部分空間をよく近似する部分空間を張る直交基 底の組を構成する必要がある.今回,出力ベクトルの組から基底の組を作成する新しい方法を発見したので実験結果と共に紹介する.

■11:30〜12:00

講演題目:非線形固有値問題に対する複素平面上での大域的固有値分布推定

発表者: :○前田 恭行(筑波大学),二村 保徳(筑波大学),櫻井 鉄也(筑波大学)

概要: 本発表では、非線形固有値問題の複素平面上での固有値分布を、行列のトレースの統計的計算手法を用いて推定する方法について述べる。 いくつかの数値例によって方法の有効性を示す。

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【セッション2:線形方程式】 座長:松尾 宇泰(東京大学)

■14:00〜14:30

講演題目: 複数右辺ベクトルに対するIDR(s)法での解法

発表者: ○内藤 理大(筑波大学), 櫻井 鉄也(筑波大学),多田野 寛人(筑波大学)

概要: 右辺ベクトルが複数存在するときの連立一次方程式を、連立一次方程式の解法の一つであるIDR(s)法を用いて解く。 発表ではその手法といくつか の数値実験の結果を示す。

■14:30〜15:00

講演題目: デフレーションを用いたGMRES(m)法に対するLOOK-BACK型のリスタートの適用

発表者: ○楊 済栄(名古屋大学),今倉 暁(名古屋大学),曽我部 知広(愛知県立大学),張 紹良(名古屋大学)

概要: 非対称連立一次方程式に対する有効な解法として,デフレーションを用いたGMRES(m)法が知られている. 一方,近年, GMRES(m)法にLOOK-BACK型のリスタートを適用したLOOK-BACK GMRES(m)法が提案され,有効性が示されている. 本発表では,デフレーションを用いたGMRES(m)法に対しLOOK-BACK型のリスタートの適用を試みる.

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【セッション3:最小二乗問題】 座長:櫻井 鉄也(筑波大学) 

■15:15〜15:45

講演題目: 最小二乗問題に対するSOR内部反復前処理

発表者: ○保國 惠一(総合研究大学院大学),速水 謙(国立情報学研究所)

概要: SOR型内部反復付きGMRES法により最小二乗問題を解くことを考える. この手法が一般的な場合に破綻なく最小二乗解を与えることを示す. 数値実験により,悪条件問題やランク落ち問題に対しても頑健なことを示す.

■15:45〜16:15

講演題目: 開曲面上データを用いた多重極係数の高精度計算法と脳磁場逆問題への応用

発表者:○青鹿弘行(電気通信大学)、奈良高明(電気通信大学)

概要:頭部表面で観測した磁場データから脳内の神経電流源を推定する脳磁場逆問題に対し、我々は、磁場の多重極係数から成る行列の固有値として、 複素平面上に射影したソース位置を求める直接解法を提案してきた。本発表では、多重極展開に対する線形最小二乗法から多重極係数を求めることで、 閉曲面上の境界積分によらず、実際の開曲面上データから高精度にソース位置の推定を行う。

■16:15〜16:45

講演題目:最小二乗法を用いた劣決定逆問題数値解法の開発と薬物動態モデルへの応用

発表者:○青木康憲(University of Waterloo),速水謙(国立情報学研究所),小長谷明彦(東京工業大学)

概要:常微分方程式系で表される抗がん剤代謝動態モデルを使い、臨床観測データーから患者生体内の状況を推測することを試みる。 数理的には常微分方程式の係数を推測する劣決定逆問題に帰着される。従来の統計的手法では、大規模サーバーマシーンを使用しても この逆問題を解くのに一週間程度かかっており、パーソナル医療への応用可能性が疑問視されていた。 しかしながら、我々が開発した最小二乗法を用いた手法を用いる事によりパーソナルコンピューターで30分程度で解くことが可能になった。

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【セッション4:連立代数方程式,HPC】 座長:片桐 孝洋(東京大学)

■17:00〜17:30

講演題目:拡張Durand-Kerner法による連立代数方程式の数値解法

発表者:○石井政行,杉浦洋(南山大学)

概要: 連立代数方程式を数値的に全解探索し、かつ少ないメモリーで単純なアルゴリズムで探索するために、Durand-Kernerの解釈を拡張させたアルゴリズムを提案する。 数値実験の結果、ダイオードからなる2変数5次の方程式から連立代数方程式の標準ベンチマーク問題である3変数、4変数、5変数の全解探索に成功した。

■17:30〜18:00

講演題目: 非直交同時対角化アルゴリズムのキャッシュ向け最適化とその評価

発表者:○廣田悠輔(神戸大学),山本有作(神戸大学),張紹良(名古屋大学)

概要: 複数の行列を非直交行列による合同変換で同時対角化する問題(非直交同時対角化問題)は,独立成分分析など多くの応用を持つ. この問題の数値解法の一つであるLUJ2Dアルゴリズムのオリジナルの実装法は,キャッシュの利用効率の低さのため, 近年のマイクロプロセッサ上で低い性能しか得られない.本発表では,LUJ2Dアルゴリズムのキャッシュ利用効率の高い実装法を提案し, 数値実験によりその性能を評価する.

■18:00
クロージング
幹事:速水 謙(国立情報学研究所)

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運営委員会

■13:30〜13:55 
日本応用数理学会「行列・固有値の解法とその応用」研究部会
運営委員会
場所:セミナー室2(15階1509室)

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「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会HP