平成19年 研究部会 連合発表会

日本応用数理学会 平成19年 研究部会 連合発表会

■日時:
  平成19年3月3日(土)〜4日(日)

■場所:
  名古屋大学 東山キャンパス 情報科学研究科棟
  〒464-8601 名古屋市千種区不老町
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【特集号投稿に関して】
特集号への投稿期限は,3月31日に統一されました.
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■プログラム(研究部会関係部分):

9:30-10:15 チュートリアル Tutorial Lecture (企画 行列・固有値問題の解法とその応用研究部会) 司会 速水 謙(国立情報学研究所)

The numerical approximation of matrix functions
Michael Eiermann (Technische Universitat Bergakademie Freiberg)

Abstract


10:30-12:15 行列・固有値問題の解法とその応用 Matrix Computation (1) 座長 張 紹良(名古屋大学)

加速型 ILU(0) 分解前処理つき CRS 法の収束性評価
○尾上 勇介(九州大学工学部 B4),藤野 清次(九州大学情報基盤センター),阿部 邦美(岐阜聖徳学園大学)

BiCR法をベースに新しく提案されたCRS法にいろいろな前処理を 組み合わせたときの収束性、頑強性そして効率について報告する。


ib_IC_0(tol) 分解前処理の閾値依存性について
○Moethuthu(九州大学大学院 D1),藤野 清次(九州大学情報基盤センター),塩出 亮(九州大学大学院 M2)

Inverse-basedに基づくドロッピングを使ったIC分解つきCG法 の閾値に対する収束性について報告する。


BiCRSafe 法の提案と安全収束性の評価
○藤野 清次(九州大学情報基盤センター),尾上 勇介(九州大学工学部 B4),阿部 邦美(岐阜聖徳学園大学)

BiCR法をベースにしたBiCRSafe法を提案する。そして、その 実際の行列について収束安全性を調べたので結果を報告する。


Finger pattern のブロック化による陰的 wavelet 近似逆行列前処理の高速化
○今倉 暁(名古屋大学大学院工学研究科 M1),曽我部 知広(名古屋大学大学院工学研究科),張 紹良(名古屋大学大学院工学研究科)

連立1次方程式に対するKrylov部分空間法の前処理として, 近似逆行列前処理法がある. 近年, この前処理法に対してwavelet変換 を利用する研究が行われている. 本研究では, finger patternをブロック化 することで, この前処理行列をより高速に求める方法を提案する.


Preconditioned Krylov Subspace Methods for the Solution of Least-Squares Problems
○Jun-Feng Yin(国立情報学研究所),速水 謙 (国立情報学研究所)

We compare preconditioned GMRES, CGLS and LSQR methods for the solution of large sparse least-squares problems by numerical experiments. As preconditioners, we use a class of incomplete QR factorization based on Givens rotation and RIF (Robust Incomplete Factorization).


Cutoff した行列に対して疎行列用直接法を用いた前処理と反復法について
○岡田 真幸(筑波大学大学院システム情報工学研究科 D1),櫻井 鉄也(筑波大学大学院システム情報工学研究科)

非零要素数が非常に多い行列を係数行列に持つ連立一次方程式に対する前処理 に関して提案する.有限差分,有限要素などで現れる行列は,行列が非常に疎であり, 反復法で解 くことが容易だが,応用分野である分子軌道計算などで現れる行列は, 非零要素のかなり多い行列であり,従来の前処理である不完全コレスキー分解など では,効率的に計算することが困難である. 本稿では,それらの行列に対し疎行列化を行い,疎行列用直接法を適用すること で,前処理と見なし,Krylov部分空間反復法に適用した場合に関して述べる.


2つの最小特異値下界に対する dqds 法の収束性について
山本 有作(名古屋大学大学院工学研究科),○宮田 考史(名古屋大学大学院工学研究科 M2)

2重対角行列の特異値計算のためのdqds法において,シフトとして 最小固有値に対するOstrowski下界およびBrauer下界を用いた場合の 収束性を,理論的に検討する。


14:40-16:10 行列・固有値問題の解法とその応用 (2) 座長 直野 健(日立製作所)

電子状態計算に於ける Jacobi-Davidson 法と修正方程式
○澤村 明賢(住友電気工業(株)解析技術研究センター)

深い側から多数の固有状態を求める課題に対し、直交化を減らせ得る方法として Jacobi-Davidson法に着目し、修正方程式の求解でどんな直交化の簡略化が許されるか、 解法は何が好適か、と云うテスト計算を行った。


実空間基底を用いた分子軌道計算と原子軌道型基底の併用による固有値行列の簡約化
山川 俊輔(株式会社豊田中央研究所),○兵頭 志明(株式会社豊田中央研究所)

計算化学における行列・固有値問題解法の応用問題のひとつとして、 我々が検討を進めている実空間基底(有限要素基底)と原子軌道型の 局在基底との混合基底を用いた分子軌道計算法について紹介させていただく。


AMLS による周回積分の円領域推定
○先崎 健太(筑波大学第三学群情報学類 B4),多田野 寛人(科学技術振興機構) 櫻井 鉄也 (筑波大学大学院システム情報工学研究科)

本発表では行列の部分構造化を用いた一般化固有値問題の大域的な 固有値分布推定法について述べる。さらに,本方法を周回積分を用いた 固有値解法で必要とされる円領域推定に応用した例を示す。


大規模疎行列に対する Grid 環境向き Arnoldi 法
○木原 崇智(筑波大学大学院システム情報工学研究科 M1),小瀧 義久(筑波大学大学院システム情報工学研究科 M2),多田野 寛人(科学技術振興機構),櫻井 鉄也(筑波大学大学院システム情報工学研究科)

近年,科学技術計算において大規模な固有値問題が現れることが多く, 同問題の並列解法が求められている.大規模固有値問題のGrid向き解法に, 多重リスタート付きArnoldi法がある. 本発表では,多重リスタート付きArnoldi法において,データを分散させる ことで,よりスケーラブルな系の拡大を実現するための方法について発表する.


周回積分法による標準固有値問題の求解-Rayleigh-Ritz Procedure による精度改善-
○多田野 寛人(科学技術振興機構),櫻井 鉄也(筑波大学大学院システム情報工学研究科)

非Hermite行列をもつ標準固有値問題の一部の固有値,及び固有ベクトルを求 める手法として,周回積分を用いた方法が提案されている. 同法では,計算過程で複素モーメントを求めて固有値を計算するため,近接 固有値の精度が悪化するという欠点があった. 本発表では,周回積分法とRayleigh-Ritz Procedureを組み合わせることで 複素モーメントの計算を回避し,高精度の固有値,及び固有ベクトルが計算できる ことを示す.


Inexact Newton iteration method for a class of nonsymmetric algebraic Riccati equations
○Yong-hua Gao(Chinese Academy of Sciences D3)

We construct a class of inexact Newton iteration methods for a class of Riccati equations, which use Newton iteration method as outer iteration and doubling method as inner iteration.


16:20-17:50 行列・固有値問題の解法とその応用 (3) 座長 片桐 孝洋(電気通信大学)

4倍精度ベクトル演算パッケージ ASLQUAD の開発とその性能評価
○緒方 隆盛(NEC HPC販売推進本部),久保 克維(NEC HPC販売推進本部)

四倍精度演算を64bitのベクトルCPUで演算するパッケージの機能の紹介と 性能評価を発表する。


4倍精度クリロフ部分空間法の収束比較
○小武守 恒(JST/東京大学)

反復解法ライブラリLisにdouble-double精度を用いた高速な 4倍精度反復解法を実装した。これを用いて、様々な行列に対して 収束性の比較を行う。


カスケーディングRPCを用いた周回積分法の高速化
○小瀧 義久(筑波大学大学院システム情報工学研究科 M2),櫻井 鉄也(筑波大学大学院システム情報工学研究科)

一般化固有値問題の並列解法として,問題を複数の独立した 線形方程式の求解問題に帰着させる周回積分法が提案されている. 同法を低速ネットワークを介してMaster-Worker型に並列化した場合, データ送信がボトルネックとなり実行時間を延長させる.本研究では, Ninf-Gの機能のひとつであるカスケーディングRPCを用い,この問題を解決する.


AOR 法を用いた可変的前処理付き一般化共役残差法
○前田 祥兵(名古屋大学大学院工学研究科 M1),阿部 邦美(岐阜聖徳学園大学経済情報学部),曽我部 知広(名古屋大学大学院工学研究科),張 紹良(名古屋大学大学院工学研究科)

SOR法を用いた可変的前処理付き一般化共役残差法はHelmholtz方程式, 移流拡散方程式を離散化した問題に対して有効な解法である.しかし, SOR法の緩和係数ωにより著しく性能が変化するため本研究ではSOR法を 拡張したAOR法を用いることによりωによる性能変化の抑制を行う.


非エルミート行列を解くための準最小残差アプローチとその応用
○南 さつき(東京大学 M2),曽我部 知広(名古屋大学),杉原 正顯(東京大学),張 紹良(名古屋大学)

非エルミート行列を解くための準最小残差アプローチはQMR法で初めて導入 され、その後も様々なBi-CG法系統の解法に適用されてきた。本発表ではこの 準最小残差アプローチを最近提案されたBi-CR法に適用し、QMRBi-CR法を導出 する。数値実験の結果も併せて報告する。


画像およびその投影の複素モーメントについて
○伊藤 信貴(東京大学工学部計数工学科 B4),奈良 高明(東京大学),櫻井 鉄也(筑波大学)

我々は、画像の局部的特徴量と複素モーメントの関係を明らかにし、 回転対称点、エッジ、コーナーなどの画像特徴量が抽出できることを示す。 さらに投影データを用いて大域的または局所的な複素モーメントを直接計算 する方法を示す。