日本応用数理学会の3研究部会である、
「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会、
「科学技術計算と数値解析」研究部会、
「計算の品質」研究部会、
は連携し、当該研究部会の研究内容について初学者を対象にした「応用数理セミナー」を開催します。
■日本応用数理学会
3部会連携「応用数理セミナー」プログラム
●2009年 12月7日(月)
国立情報学研究所 12階会議室1208、1210 (50人収容)
(http://www.nii.ac.jp/index.php?action=pages_view_main&page_id=6)
・8時40〜9時00分: 受付
・9時00分
開始のあいさつ
行列・固有値問題の解法とその応用 研究部会 主査
東京大学 片桐孝洋
・9時00分〜10時00分
講師:
筑波大学 櫻井鉄也 教授
タイトル:
大規模固有値問題の数値解法
〜適切な解法選択のために
概要:
大規模な固有値問題は多くのアプリケーション分野で現れるが、問題によってその性質が大きく異なり、それぞれの問題に応じた適切な解法を用いる必要がある。
本講演では、大規模な固有値問題を対象として、問題や行列の性質と分類について解説する。さらに、その性質に応じたいくつかの解法を紹介する。
・10時00分〜11時00分
講師:
東京大学 片桐孝洋 特任准教授
タイトル:
マルチコア・超並列時代の並列固有値ソルバ実装法
〜ブロック化、マルチキャストを中心に
概要:
近年の計算機アーキテクチャは、ひとつのチップに複数のCPUを搭載したマルチコア構成となっている。さらに、メモリとCPU間のデータ転送能力が低下していく傾向にある。このような計算機では、チップに内蔵されている高速メモリであるキャッシュを有効活用する実装を行わないと高性能を達成できない。一方で、ハイエンドな並列計算機は数千コアを搭載している。このような超並列環境では、通信量を削減する方式の実現が必要となる。
本講演では、並列計算機として東京大学情報基盤センターに設置されているT2Kオープンスパコン(東大版)、アプリケーション
として対称実数密行列の三重対角化を経由する固有値ソルバを主な例に挙げ、有効となる手法を解説する。
・11時00分〜12時00分
講師:
東京大学 鷲尾巧 研究員
タイトル
大規模連立一次方程式の並列反復解法について
〜心臓シミュレータでの適用例をもとに
概要:
ロバストかつ高速な並列反復解法を実現するためには、個々のアプリケーション固有の行列の性質(構造/非構造、正定値/不定値性、悪条件性など)を認識し、その特性を活用したり、その問題点を克服する対策を取り入れるなど柔軟な対応が必要である。
本講演では、有限要素解析および反復解法の基本的概念を導入した後、流体-構造強連成解析において重要な非圧縮性を伴う連続体解析で生じる問題の解法、悪条件性を局部的に含む大規模行列の解法、非線形マルチスケール解析(均質化法)用の解法などを心臓シミュレータでの適用事例を通して紹介する。
・12時00分〜13時00分
昼休み
・13時00分〜16時00分(3時間)
講師:
早稲田大学 大石進一 教授
東京女子大学 荻田武史 講師
早稲田大学 尾崎克久 客員講師
早稲田大学 山中脩也 助手
タイトル:
「精度保証付き数値計算の基礎から応用まで」
基礎1:浮動小数点演算と線形問題の精度保証(荻田)
基礎2:無限次元非線形方程式の精度保証(大石)
応用1:数値積分の精度保証(山中)
応用2:計算幾何学のエラーフリーアルゴリズム(尾崎)
概要:
本講演では、精度保証付き数値計算の基礎から応用までを紹介する。
基礎としては、精度保証付き数値計算と浮動小数点演算の関係について説明し、線形問題や非線形方程式に対する精度保証について解説する。応用として、数値積分や計算幾何学の精度保証についても紹介する。これにより、精度保証付き数値計算の全体を見渡すことができる。
・16時00分〜16時15分
休憩
・16時15分〜18時15分 (2時間)
講師:
九州大学 田上大助 准教授
仮題:
有限要素スキームを用いた流れ問題の数値計算と適用事例
要旨:
本セミナーでは、我々が開発した温度依存係数を持つ熱対流問題や大規模非圧縮粘性流れ問題に適用可能な有限要素スキームを中心に、流れ問題の数値計算手法について解説する。また、解説したスキームの適用事例を示す。
・18時15分
終わりの言葉
科学技術計算と数値解析 研究部会 主査
電気通信大学 加古孝
・18時30分〜
懇親会
乾杯挨拶
計算の品質 研究部会 主査
早稲田大学 大石進一
「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会HP
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