日本応用数理学会 2012年 研究部会 連合発表会
 名称:日本応用数理学会 2012年 研究部会 連合発表会
    「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会セッション
 日時:2012年3月8日(木)〜3月9日(金)
 場所:九州大学 伊都キャンパス数理IMI棟
     (〒819-0395 福岡市西区元岡744)
 参加費:学生会員: 1,000円,一般会員: 2,000円,
     学生非会員: 2,000円,一般非会員: 4,000円
 Webページ:連合発表会全体のHP


プログラム(研究部会関係部分) [2/29修正版]
連合発表会全体の調整により,午前のセッションに11:00〜11:10の10分間休憩が 入りました.
その他は,プログラム(案)の時点から原則として大きな変更はありません.
    お願い 作成には万全を期しておりますが,万一誤り(特にエントリーの抜け)がありましたら松尾(matsuo(at mark)mist.i.u-tokyo.ac.jp)まで至急ご連絡ください.
【3月8日(木)】(敬称略)
■10:00〜12:10■(20分講演×6件) 座長 松尾 宇泰(東京大学)
「最新の QR 分解アルゴリズムの概要」
 ○鈴木 智博(山梨大学)
    概要:現在のスーパーコンピュータの主流である大規模マルチコアクラスタ向きの行列分解アルゴリズムとしてタイルアルゴリズムが提案されている. 発表では,特に QR 分解についてその概要を報告する.
「タイル QR 分解アルゴリズムのマルチ GPU 実装」
 ○丸山 陽介 (山梨大学 M2),鈴木 智博 (山梨大学)
    概要:マルチ GPU 環境でタイル QR 分解アルゴリズムを実装した. アルゴリズムの逐次的な計算部分は CPU で,並列性の高い部分は GPU 上で実行している. 発表では,実装方法,実験結果について報告する.
「T2K オープンスパコンにおけるタイル QR 分解の OpenMPI/MPI ハイブリッド実装」
 ○宮下 秀樹 (山梨大学 M2),鈴木 智博 (山梨大学)
    概要:QR 分解を効率的に計算する為のアルゴリズムとしてタイル QR 分解がある. 大規模なタイル QR 分解を行なうため,T2K オープンスパコンを使用し,OpenMP と MPI によるハイブリッド実装を行なった. 発表では,実装方法,実験結果について報告する.
(10分間休憩)

「QR分解のアップデートアルゴリズムに関する誤差の研究」
 ○杉野 透 (東京大学B4)
    概要:行列に対するQR分解のアップデートアルゴリズムを複数回適用した場合に得られた行列に対し, 直接にQR分解を適用した結果との丸め誤差を,行列自身やそれを利用した最小二乗法の結果などに対して考察する.
「行列*代数の生成と同時ブロック対角化」
 ○垣村 尚徳 (東京大学), 相浦 大司 (東京大学 M1),室田 一雄 (東京大学)
    概要:行列*代数を用いた同時ブロック対角化手法は, 半正定値計画の計算効率化や対称構造物の分岐解析など 様々な問題に応用されている.本講演では, 行列*代数を生成するために必要な行列数と固有値との関係について考察する.
「複素対称行列のハウスホルダ型三重対角化法について」
 ○村上 弘 (首都大学東京)
    概要:要素が複素数の対称行列に,複素直交行列(転置行列が逆行列である複素行列) となるハウスホルダ型の変換を順次に作用させていくことで(途中に破綻が生じなければ) 三重対角形に相似変換することができる.この既知の方法について調べて紹介する.

(昼休み:12:00〜13:00)

■13:00〜15:00■(20分講演×6件) 座長:曽我部 知広(愛知県立大学)
「最小二乗問題に対する定常内部反復前処理GMRES法の収束性」
 ○保國 惠一 (総合研究大学院大学 5年一貫制博士課程4年), 速水 謙 (国立情報学研究所,総合研究大学院大学)
    概要:最小二乗問題に対するGMRES法の内部反復前処理に一般の定常反復法を用いる場合の収束条件を与える.さらにGMRES法の残差ノルムの上界が反復行列のスペクトル半径に依存することを示す.
「シフト方程式に対するGBiCGSTAB(s,L)法」
 ○深堀 康紀 (東京大学 M2),杉原 正顯 (東京大学)
    概要:シフト方程式に対するクリロフ部分空間法として,Shifted GMRES法,Shifted BiCGstab(\ell)法,Shifted IDR(s)法など,様々なものが提案されている.本講演では,GBiCGSTAB(s,L)法を基にしたシフト方程式用数値解法を開発したので,それについて発表する.
「IDR(s)法における収束特性を考慮した最適パラメータsの探索方法の研究」
 今村 俊幸 (電気通信大学),○高橋 慶太 (電気通信大学M2)
    概要:IDR(s)法において計算時間を最小にするパラメータsを自動的に探索する方法について研究を行った. sと収束までの反復回数の関係に注目し,その関係式を推定する.それを基に計算時間の推定式を構築しその式を用いて最適なsを求める,
「対称固有値問題に対するレイリー商反復法に対する一注意」
 ○相島 健助(東京大学),松尾 宇泰(東京大学),杉原 正顯(東京大学)
    概要:対称行列の固有値問題のためのレイリー商反復法は, ほとんどすべての初期ベクトル に対して収束が理論保証されているが,初期ベクトルによっては収束しない 場合がある.本講演では,計算中に用いられる内部ベクトルを修正することで, 任意の初期ベクトルに対して収束が保証されるようにできることを示す.
「非線形固有値問題への周回積分を用いた射影法の適用」
 ○横田 真之介(筑波大学 B4),櫻井 鉄也(筑波大学)
    概要:一般化固有値問題向けの解法であるRayleigh-Ritz射影法を用いたSakurai-Sugiura法が非線形固有値問題へ適用可能であることを示す.本方法は周回積分を用いて大規模な問題を小規模な非線形固有値問題へ帰着させる.
「compact WY表現に基づく直交化プロセスの並列化を用いた逆反復法の高速化」
 ○石上 裕之 (京都大学M1),山本 有作 (神戸大学),木村 欣司 (京都大学),中村 佳正 (京都大学)
    概要:3重対角行列または帯行列向け逆反復法において, 固有ベクトルの直交化にcompact WY表現に基づく手法を取り入れることで高速化が望める. 本講演では, 複数のテスト行列に対して部分固有値・固有ベクトル計算を行った数値実験結果について報告する.

(20分休憩:15:00〜15:20)

■15:20〜17:20■(20分講演×6件) 座長:相島 健助(東京大学)
「丸め誤差があっても破綻しないdqds法向け修正型一般化Newtonシフト」
 ○山本 有作(神戸大学),木村 欣司(京都大学),山下 巧(京都大学)
    概要:木村・山下らによって提案された一般化Newtonシフトは,dqds法のための 効率的なシフト戦略であるが,シフトが最小特異値を良く近似しすぎるため,丸め 誤差により破綻することがある.本発表では,この問題を解決する修正型の一般化 Newtonシフトを提案する.
「最小特異値の下界を構成するための逆行列のトレースを計算する新しい減算なし公式について」
 ○木村 欣司 (京都大学),山本 有作 (神戸大学),山下 巧 (京都大学),田 雅美 (奈良女子大学),中村 佳正 (京都大学)
    概要:最小特異値の下界を構成するための逆行列のトレースを計算する 新しい減算なし公式を提案し,その評価を行う. 新しい公式により,10000次元のような小規模行列でも アグレッシブシフトと等速度になる新しいシフト戦略を構築できることを示す.
「倍精度正方行列特異値分解アルゴリズムの GPGPU 上での性能・精度評価」
 ○廣田 悠輔 (神戸大学 D2),橋本 拓也 (神戸大学 B4),山本 有作 (神戸大学)
    概要:正方行列特異値分解は,行列の二重対角化に Bischof のアルゴリズムを用いることにより, 計算の大部分を Level-3 BLAS によって行うことができる. 本研究では,このアルゴリズムの GPGPU 向けの倍精度実装の性能および精度の評価結果について報告する.
「シュティーフェル多様体上の最適化アルゴリズムによる新しい特異値分解手法」
 ○佐藤 寛之(京都大学 D1),岩井 敏洋(京都大学)
    概要:サイズが一定の長方直交行列全体の集合には多様体の構造が入り,これをシュ ティーフェル多様体という.行列の特異値分解は, 2つのシュティーフェル多様体の積多様体上の最適化問題に帰着されるという事 実から,その最適化手法を与えることで,新たな特異値分解の手法を提案する. 特に,この多様体上の共役勾配法を導出することで,最急降下法より収束が飛躍的 に速いアルゴリズムが得られたので,その数値計算結果を紹介する.
「有限戸田格子方程式に関連する3重対角行列の固有値について」
 ○赤岩 香苗 (京都大学M1),近藤 弘一 (同志社大学),岩ア 雅史 (京都府立大学),中村 佳正 (京都大学)
    概要:適切に初期値を与えたqdアルゴリズムは有限戸田格子方程式と等価であり, 一般解は行列式の恒等式より導出される. 本講演では,戸田方程式の分子解と3重対角行列の固有値の関係を説明し, 数値的な応用例も示す.
「離散可積分系に基づく高精度Darboux変換について」
 ○永田 宗寛 (京都大学 M2),岩ア 雅史 (京都府立大学),中村 佳正 (京都大学)
    概要:浮動小数点数演算において数値安定にDarboux変換を実現する離散 時間方程式を離散Lotka-Volterra(dLV)系から導出する.また, その応用について述べる.


その他の注意:(講演を申し込まれた方向け)

本連合発表会での講演には,以下の論文投稿権利が与えられます.
いずれも,講演申込時に投稿有無を宣言する必要はありません.

日本応用数理学会論文誌:
「日本応用数理学会論文誌特集号論文」の形態をやめることにし,代わりに講演後原則として半年間の投稿を,研究部会連合発表会の投稿として受け付けることになりました.この間の投稿については,査読プロセスが通常よりも迅速になるメリットがあります.

英文電子ジャーナル"JSIAM Letters":
研究部会連合発表会の講演について,著者の少なくとも一人が日本応用数理学会 の会員であれば,3月10日から9月30日の間は
     英文電子ジャーナル"JSIAM Letters"
   http://jsiam.amp.i.kyoto-u.ac.jp/letters/
への投稿資格も得られます.著者に会員のいない場合も投稿可能(掲載料は有料)となりました.詳しくは上記URLの投稿規定をご覧下さい.

以下,その他の注意点です.
(1) 今回の発表会ではポスター発表は予定されておりません.
(2) 予稿集の作成はありません.