平成21年 研究部会 連合発表会

日本応用数理学会 平成21年 研究部会 連合発表会

 日時:平成21年3月7日(土)〜3月8日(日)
 場所:京都大学理学部 6号館
 参加費:学生会員: 0円/一般会員: 1,000円/学生非会員: 1,000円/一般非会員: 2, 000円
 Webページ:http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~hirai/jsiam/jsiam.html


平成20年度 連合発表会 プログラム案(研究部会関係部分)

開催日程: 2009年3月7日(土)、3月8日(日)
開催場所: 京都大学大学院理学研究科6号館 2F、3F

■口頭発表プログラム(研究部会関係部分):
3月7日 301号室 (12件、一人18分)14:00〜17:58

座長:速水謙(国立情報学研究所)
14:00-14:18
Sakurai-Sugiura 法の非単連結領域への拡張
○宮田 考史(名古屋大学 D2)、杜 磊(名古屋大学 D1)、 曽我部 知広(名古屋大学)、山本 有作(名古屋大学)、 張 紹良(名古屋大学)
概要: 実際問題として,有限な非単連結領域内部の固有値が必要とされている. そのような問題に対して,本研究では Sakurai-Sugiura 法の拡張を行う.

14:20-14:38
ある Totally nonnegative な帯行列に対するqd法
○山本 有作(名古屋大学)
概要: すべての小行列式が非負である行列を totally nonnegative(TN)行列 と呼ぶ。本発表では,ある種の正則かつTNな帯行列に対し,固有値計算の ためのqd法が自然な形で拡張されることを示す。

14:40-14:58
Cyclic Reduction変形によるブロック3重対角行列の固有値の変化について
○王 坦(京都大学M2),岩崎 雅史(京都府立大学),中村 佳正(京都大学)
概要: 係数行列が3重対角またはブロック3重対角である連立 1次方程式の直接解法 としてCyclic Reduction法が知られている.本講演では,係数行列をブロック 3重対角とした場合に成立する 定理を示す.

15:00-15:18
非線形固有値問題の指定した領域内の固有値解法
○朝倉 順子(筑波大学M2),櫻井 鉄也(筑波大学),多田野 寛人(筑波大学), 池上 努(産総研),木村 欣司(京都大学)
概要: 非線形固有値問題の指定した領域内の固有値解法の性質について述べる. また,数値実験によりその性質を確認する.

座長:曽我部知広(名大)

15:20-15:38
IDR(s) - Bi_IDR(s) - GIDR(s,L) -- The triangle is closed --
○尾上 勇介(九州大学 M2),藤野 清次(九州大学)
概要: 2007年に,Sonneveld, van Gijzenらにより,IDR(s)法が発表された後, 同一著者によりIDR(s)法の改良版であるBi_IDR(s)法が発表された. さらに,谷尾,杉原により,IDR(s)法を一般化したGIDR(s,L)法が, 発表された.本発表では,これら3種類の反復法の特徴を述べ, 有効な使い分け方を提示する.

15:40-15:58
*IDR(s,*)法共通に適用可能な計算量削減の技
-- 行列pの部分的密行列化 --
○尾上 勇介(九州大学 M2),藤野 清次(九州大学)
概要:  本発表では,IDR(s)法系統の反復法に共通に適用可能な密行列  ベクトル積の計算量を減らすテクニックを提案する.  さらに,数値実験を通して,そのテクニックの有効性を示す.

16:00-16:18
残差とMR多項式の相関を考慮するスイッチングつき GPBiCG-AR法の収束性
Moe Thuthu(九州大学 D), ○藤野 清次(九州大学)
概要: 残差ノルム最小化の過程においては,残差ベクトルとMR多項式の間には強い 相関があり,これを検出しその情報を算法に生かしたGPBiCG-AR法の収束性 について比較論じることにする.

16:20-16:38
高次元のshadow residualを持つBi-CG法に高次の加速多項式を付加したアルゴリズム
○谷尾 真明(東京大学M2),杉原正顯(東京 大学)
概要: 年会では,IDR(s)法に高次の加速多項式を付加したGIDR(s,L)法を 提案した.本講演では,同等の性能を持つ,Bi-CG法を拡張して 得られる2つのアルゴリズムを新たに提案する.

座長:松尾宇泰(東大)

16:40-16:58
講演題目:BiCGStab2法,GPBi-CG法のIDR(s)法への変形
○阿部 邦美(岐阜聖徳学園大学),Gerard Sleijpen(Utrecht university)
概要: 線形方程式の解法として IDR(s)法が開発された.そのIDR(s)法とBiCG法 系統の解法との関連が明らかにされ,BiCGstab(ell)法のIDR(s)法への 変形アルゴリズムが提案されている.本発表では,BiCGStab2法,GPBi-CG法 のIDR(s)法への変形アルゴリズムを提案する.

17:00-17:18
Look-Back型のGMRES(m)法について
○今倉 暁(名古屋大学D1)、曽我部 知広(名古屋大学)、張 紹良(名古屋大学)
概要: 日本応用数理学会2008年度年会において提案したGMRES(m)法の拡張法に対し、 より詳しい考察を行う。

17:20-17:38
最小二乗問題に対するColumn Decomposed AOR法による前処理
○保國 惠一(総合研究大学院大学 M1),Xiaoke Cui(総合研究大学院大学 D3), 速水 謙(国立情報学研究所)
概要: 前処理として,最小二乗問題の定常反復解法であるColumn Decomposed AOR法を,Krylov部分空間法に施すことの有効性について検討をする. さらに数値実験の結果から,その性質を評価する.

17:40-17:58
反復改良法を用いた陰的Runge-Kutta法の性能評価
○幸谷 智紀(静岡理工科大学)
概要: 本講演では,Buttariらの提案する単精度・倍精度混合型反復改良法を陰的 Runge-Kutta法の内部反復に使用する方法について議論し,数値実験によって その性能評価を行った結果について述べる。


■ポスター発表(研究部会関係部分、10件):

非線形問題の解法Anderson法と特異値分解の利用
○澤村 明賢(住友電気工業(株) )
概要: 非線型方程式の解法の1つ、Anderson法は最小二乗法と共通する数値的不安定性 を抱えている。今回、特異値分解のプロセスに着目し、過去のデータの参照の 度合を自動的に決める技法を開発し、その効果を電子状態計算に於いて確認した。

行列の指数関数を用いた連立線形常微分方程式の並列解法の性能評価
○則竹 渚宇(名古屋大学M2),山本 有作(名古屋大学),張 紹良(名古屋大学)
概要: 連立線形常微分方程式の解を行列の指数関数を用いて形式的に表現し, クリロフ部分空間法で近似を行うことにより,並列度の高い解法が得られる。 本発表では,この解法について,精度と並列性能の評価結果を報告する。

ハウスホルダーQR分解のためのAllReduceアルゴリズムの理論誤差解析
○森 大介(名古屋大学M2),山本 有作(名古屋大学),張 紹良(名古屋大学)
概要: ハウスホルダーQR分解を効率的に並列化するアルゴリズムであるAllReduce アルゴリズムに対して後退誤差解析を行い,残差と直交性に対する誤差上界 を導く。また,数値実験と比較した結果を報告する。

動的負荷分散BLASのブロックサイズ決定のためのオートチューニング法
○澤 勇太(東京大学M2),須田 礼仁(東京大学)
概要: BLASを動的に並列化する際に、分割のブロックサイズが重要であることを示 すとともに、具体的なブロックサイズを与えるための手法、及びその他の 高性能化のための手法を与える。

密度汎関数法で考慮する電子状態数の収束性への影響評価
○二村 保徳(筑波大学B4),櫻井 鉄也(筑波大学),多田野 寛人(筑波大学), 岩田 潤一(筑波大学)
概要: 本講演では,密度汎関数法で考慮する電子状態の数がSelf-Consistent Field計算 の収束性に及ぼす影響を数値実験によって評価し,収束性改善の指針について 述べる.

複素モーメントから生成されるHankel行列の数値的性質について
○櫻井 鉄也(筑波大学),朝倉 順子(筑波大学),多田野 寛人(筑波大学), 池上 努(産総研)
概要: 本発表では,複素モーメントを要素にもつHankel行列の数値的な性質について考察 する.Hankel行列による行列束の固有値は要素ごとに誤差の影響が異なることを示 す.

Cutoff 付きブロック近似逆行列前処理の提案
○山崎 育朗(筑波大学M1),岡田 真幸(筑波大学D3),多田野 寛人(筑波大 学),櫻井 鉄也(筑波大学),寺西 慶太( Cray, Inc. )
概要: ブロック近似逆行列( Block SAI )前処理は解くことが困難な連立一次方程式に 対して有効であるが,多くの計算量が必要となることがある.本研究では,Block SAI前処理を高速化するために,同前処理に疎行列化技法である Cutoff を組み合 わせた前処理を提案する.

格子QCDに対する精度切替型Krylov部分空間反復法の適用と性能評価
○片岡 弘幸(筑波大学M1),多田野 寛人(筑波大学),櫻井 鉄也(筑波大学), 荻田 武史(東京女子大),蔵増 嘉伸(筑波大学)
概要: 本発表では,格子QCDシミュレーションで現れる連立一次方程式に対して高精度演算 を利用した精度切替型Krylov部分空間反復法を適用し,その効果について報告する.

FMO法を用いた分子軌道法の初期値改善
○飯塚 直之(筑波大学M1),渡邊 寿雄(産業技術総合研究所),梅田 宏明 (筑波大学),八木 徹(産業技術総合研究所),稲富 雄一(九州先端科学 技術研究所),櫻井 鉄也(筑波大学),長嶋 雲兵(産業技術総合研究所)
概要: 分子軌道法では,初期値として性質の良い電子密度を設定することが非常に重要と なる.FMO法は,高速かつ良い精度で電子密度とエネルギーを計算することができ るが,分子全体に広がる分子軌道を得ることができない.そこで,本発表では, FMO法によって計算された電子密度を分子軌道法の初期値として用いることで, 計算の高速化を図る.

一般化Newtonシフトの効率的な実装法について
○木村 欣司(京都大学)、山下巧(京都大学D2/JST)、中村佳正(京都大学/JST)
概要: 一般化Newtonシフトの効率的な実装法を提案する。 その新しい実装法で実装された一般化Newtonのシフト戦略を、 dqds法とmdLVs法の両方のコードに搭載し、性能を評価する。


本件問い合わせ先:katagiriアットマークcc.u-tokyo.ac.jp (片桐孝洋 東京大学)