日本応用数理学会「行列・固有値の解法とその応用」研究部会では,第8回研究会を開催します.
開催日:2009年11月26日(木)
場所:国立情報学研究所12階1208室(〒101-8430 東京都千代田区一ツ橋2-1-2) (http://www.nii.ac.jp/introduce/access1-j.shtml)
研究会終了後に国立情報学研究所の所内にて懇親会を予定しています.
懇親会に参加をご希望の方はこちらをご参照下さい
第1セッション終了後に第2回運営委員会を開催します.
研究部会運営委員の皆様はこちらをご参照下さい. >
プログラム
■10:20 オープニング 主査:片桐 孝洋(東京大学)
【セッション1:固有値問題1】座長:直野 健(日立中央研究所)
■10:30〜11:00
講演題目: 量子分子動力学の並列GPU計算による高速化
発表者:飯高 敏晃(理化学研究所)
概要:
Non-selfconsistent Tight Binding近似を用いたオーダーN量子分子動力学における
固有値固有ベクトル問題を並列GPU計算により高速化した例を紹介する。
計算例として1920原子からなるC60分子結晶の高温高圧下でのポリマー化の
シミュレーション結果を紹介する。
■11:00〜11:30
講演題目: Level-3 BLASに基づく対称密行列固有値解法のマルチコアプロセッサ上での性能
発表者: ○廣田 悠輔(名古屋大学 M2),早戸 拓也(名古屋大学 M2), 山本 有作(神戸大学)
概要:
対称密行列の固有値解法として、計算の大部分をlevel-3 BLASで行えるBischof
のアルゴリズムがある。本発表では、このアルゴリズムのマルチコアプロセッサ上
での性能評価結果について報告する。また、性能ネックとその解決法についても議論する。
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【セッション2:招待講演】 座長:片桐 孝洋(東京大学)
■13:00〜13:45
講演題目:MPACK 0.5.0:多倍長精度版のBLASとLAPACKの開発
発表者:中田 真秀(理化学研究所)
概要:
「BLASとLAPACKは非常によく使われる線形代数パッケージである。
私はこの多倍長精度版であるMPACK (MBLASおよびMLAPACK)を開発している。
きっかけは、半正定値計画法の最適解は一般に悪条件のためIEEE754 doubleでは
精度良く求められないことから、多倍長精度計算を始めたことにある。その後、
一般向けのライブラリ作成を開始した。目標は
(1)リファレンス実装の提供、
(2)オープンな開発体制による信頼性の確保、
(3)巨大ソフトウェア埋め込みにむけたビルディングブロックの提供、
(4)誰でも自由に使えるライセンスの設定(LGPL)
である。MPACK 0.5.0は2009/9/24にリリースされた。C++で書かれ、実、複素を含んだBLASの
ほぼすべて、LAPACKの50程度のルーチンを提供する。多倍長精度演算ライブラリはGMP/QD/DDを
サポートする。http://mplapack.sourceforge.net/
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【セッション3:固有値問題2】 座長:多田野 寛人(筑波大学)
■13:50〜14:20
講演題目: 実対称定値一般固有値問題の指定区間内の固有値の有理関数補間を用いた近似解法
発表者: 村上 弘(首都大学東京)
概要:
行列の実対称定値一般固有値問題Av=λBvの固有値は,
適切なベクトルhを選べば,一変数有理関数F(ρ)=
h^ T(AーρB)^ {ー1}hの極の値である.指定された
区間内のF(ρ)の極の近似値は,区間内の直交多項式を基底
とする多項式を分子と分母に用いた有理関数補間を利用して求める.
補間の分点を区間内の実数の選点に採ることで,有理関数F(ρ)
の値は実対称行列を係数とする連立一次方程式を解いて計算できる.
■14:20〜14:50
講演題目: 対称三重対角行列に対する Wilkinson型マルチシフトを用いたQR 法の大域的収束性について
発表者:○相島 健助(東京大学 D2),松尾 宇泰(東京大学),室田 一雄(東京大学),杉原 正顯(東京大学)
概要:
対称三重対角行列の固有値計算法としてQR法がある.このQR法の並列化の研究
の中で,シフトを複数導入するマルチシフト QR 法が近年注目されている.通
常,シフトは,右下のサイズ m の小行列の m 個の固有値とし,一般化レイリ
ー商シフトと呼ばれている.本発表では,右下のサイズ m+1 の小行列の m 個
の固有値をシフトに選ぶ Wilkinson 型のシフトを提唱し,このときのマルチシ
フトQR 法の大域的収束性について議論する.
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【セッション4:線形方程式1】 座長:松尾 宇泰(東京大学)
■15:00〜15:30
講演題目: A variant algorithm of GPBiCG for solving linear systems
発表者: ○阿部 邦美(岐阜聖徳学園大学),Gerard L.G. Sleijpen(Utrecht university)
概要:
線形方程式を解く解法として GPBiCG(Generalized product-type
method derived from Bi-Conjugate gradient method)は,高速で
ロバストなことが知られている.GPBiCG法は三項漸化式を書き換えた
交代漸化式を用いてアルゴリズムが導出される.本発表では,
三項漸化式を利用して GPBiCG 法と数学的に同値で表現の異なる
アルゴリズムを提案する.そして,数値実験により提案する方法の
有効性を示す.
■15:30〜15:50
講演題目:クリロフ部分空間法の前処理系に対する新しい解釈
発表者: ○伊藤 祥司(理化学研究所),杉原 正顯(東京大学)
概要:
係数行列に作用させる前処理方向に応じ,前処理付き
アルゴリズムが異なり,収束性も異なると考えられてきた.
本発表では,従来の左右両側前処理の定義の問題点を指摘し,
新しい解釈に基づく定義を示す.
■15:50〜16:10
講演題目:双ランチョス系統の前処理付きアルゴリズムについて
発表者: ○伊藤 祥司(理化学研究所),杉原 正顯(東京大学)
概要:
本発表では,双ランチョス系統のアルゴリズムの性質に
注目した前処理付きアルゴリズムを提案する.体系的
性能評価の結果も示し,従来からスタンダードとして
用いられてきたものより,本提案アルゴリズムの方が
優位であることを示す.
■16:10〜16:40
講演題目:Cutoff 付きブロック近似逆行列前処理の性能評価
発表者: ○山崎 育朗(筑波大学 M2),多田野 寛人(筑波大学),櫻井 鉄也(筑波大学),寺西 慶太(Cray, Inc.)
概要:
分子軌道計算などから現れる非零要素数の多い行列に対し,Cutoff 付きブロッ
ク近似逆行列前処理を適用する.
Cutoff パラメータが性能に大きく影響を与えるため,その選択方法を提案する.
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【セッション5:線形方程式2・特異値問題】 座長:速水 謙(国立情報学研究所)
■16:50〜17:20
講演題目: 格子QCDに対する多倍長精度Krylov部分空間反復法の適用
発表者:○片岡 弘幸(筑波大学 M2),櫻井 鉄也(筑波大学),多田野 寛人(筑波大学),
荻田 武史(東京女子大学),藏増 嘉伸(筑波大学)
概要:
本発表では,格子QCDシミュレーションで現れる連立一次方程式に対して高精度
演算を利用したKrylov部分空間反復法を適用し,性能評価を行う.また,計算過
程で発生する誤差が真の残差に与える影響について解析を行う.
■17:20〜17:50
講演題目:GMRES(m)法のリスタートに対する考察およびその拡張
発表者: ○今倉暁(名古屋大学 D2),曽我部知広(愛知県立大学),張紹良(名古屋大学)
概要:
非対称線形方程式に対する重要な解法として知られるGMRES(m)法は, GMRES法に対し,
その問題点である演算量・記憶容量の増大を解消するために, リスタートを適用した解法である.
近年, 我々はGMRES(m)法の各リスタート時の初期近似解の設定に着目し, GMRES(m)法の拡張法を
提案した.
本発表では, そのアルゴリズムの詳細を紹介し, アルゴリズムの数理的意味について考察する.
■17:50〜18:20
講演題目: 特異値分解のための超平面制約法に関する数値性能評価
発表者: ○矢谷健一(京都大学 M2),近藤弘一(同志社大学),岩崎雅史(京都府立大学)
概要:
行列の特異値分解のための数値解法として超平面制約法が提案されている.この
超平面制約法の特徴は,特異ベクトルの存在範囲が超平面上に制約された方程式
の解を,Newton法に似た反復解法によって数値的に求める点である.すべての特
異値・特異ベクトルの組が求まることは理論的に証明済みである.本講演では,
超平面制約法の数値性能評価の結果を示す.あわせて,既存の特異値分解法との
ハイブリッド版の提案,および,数値性能評価を行う.
■18:20 クロージング 幹事:速水 謙(国立情報学研究所)
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運営委員会
■12:20〜12:50
日本応用数理学会「行列・固有値の解法とその応用」研究部会
第2回運営委員会
場所:20階セミナー室1(2006号室)
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懇親会参加票
国立情報学研究所(3階喫茶室)
開始時刻:18:30〜
会費:4000円程度
懇親会に参加します。
お名前:
ご所属: E-mail:
2009年11月18日(水)までに、この参加表を電子メールでお申し込みください。
送付先のEメールアドレス: mepa2009アットマークna.cse.nagoya-u.ac.jp
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「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会HP
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